多くの在日コリアンが戦前から肩を寄せて暮らす大阪・猪飼野(いかいの)(大阪市生野区、東成区)の移り変わりを写真でたどる特別企画展「猪飼野今昔写真展」が、大阪コリアタウン歴史資料館(生野区桃谷4丁目)で開かれている。若い学生たちの活動に、古くからの地元住民が協力した企画でもある。
チマ・チョゴリ姿で買い物をするハルモニ(おばあさん)、「朝鮮服」の文字が際立つ手書きの看板、土の路地でビー玉遊びをする子どもたち……。猪飼野の街の日常から消えた風景だ。
企画展では、1960年代半ばの猪飼野の大きな住宅地図をはり出している。同じ地点で撮った当時の様子と今を比較する約80組の組み写真を配し、この60年ほどで何が変わったのかが一目で分かるようにした。
昔の様子は、韓国の済州島(チェジュド)出身で、この界隈(かいわい)で暮らした写真家の故・曺智鉉(チョジヒョン)さん(1938~2016)が、60年代後半に撮影した数々の白黒写真が元になっている。
今の写真は、大阪公立大文学部3回生の学生たちが昨夏、住民らの助言も頼りに街を歩き、曺さんの写真の場所を探し当て、同じ構図、角度で撮影した。
このほか、タッチパネルに映し出された空撮写真に約300地点のマークが記され、触れると各地点の昔と今の写真が画面に出てくるデジタル版の仕掛けも用意されている。
学生で調査に参加した白井勝…